OCLC News 特別号
商品情報をはじめ、OCLCに関する様々な情報をご案内致します。
今号は特別号として、Annual Reportをご紹介します。
『OCLC News』一覧 >>
OCLC Annual Report 2020–2021 RISE BEYOND
目次
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OCLC President & CEO スキップ・プリチャードからのご挨拶
目的を持ったテクノロジー:図書館のみに焦点を絞ったコミュニティ
– Technology with a purpose: A community focused solely on libraries –
同僚の皆様へ
図書館界はこの一年、様々な機会を提供する素晴らしいエンジンとなって、情報をデジタルで提供し、オンライン学習をサポートし、その他コミュニティが必要とするリソースを提供するという混乱の乱気流の全てを超えて、高く飛翔しました。図書館界は、テクノロジーへのアクセスを増やし、安全に再開した最初のコミュニティサービスのひとつになることで、他の誰にもできない役割を果たしてきました。
OCLCは、これらすべての取り組みにおいて図書館界をサポートできることを誇りに思っています。私たちの働き方や働く場所は変化しましたが、図書館界に奉仕する私たちの仕事は、私たちが行う全ての最前線にあり続けています。
21年度を取り巻く環境も、非常に厳しいものでした。高等教育をめぐる状況の不安定さ、コミュニティにおける予算の問題、そして世界中の経済への影響の全てを踏まえて、私たちはわずかな支出も厳しく検討しました。また私たちは、職員の採用も、昇給も、サービスの値上げも凍結しました。また他の多くの組織とは異なり、重要なサービスを提供し続け、将来に向けて新しいサービス開発に投資し続けるために、大幅な削減は行いませんでした。
しかし、この一年を振り返ると、私たちは多くのことを成し遂げてきました。パンデミック際して直面した莫大な課題は、私たちがずっと分かっていたことが正しいと証明しました。それは、図書館界は、協力すれば何でもできるということです。ここにいくつかの例をご紹介します。
図書館の価値を向上させる
- 「Reimagine Descriptive Workflows」プロジェクトでは、図書館、アーカイブ、および関連組織が書誌レコードに存在する時代遅れで差別的で有害な用語・言葉遣いに対処するための手順を紹介するコミュニティアジェンダを作成しています。
- REALMプロジェクトにおける博物館・図書館サービス機構(IMLS)およびバテル記念研究所とのパートナーシップは、新型コロナウィルス感染を防ぎ図書館が安全に再開するのに役立ち、図書館、アーカイブ、および博物館の資料をどのように扱い、再び貸出を行うか関する科学的根拠に基づいた情報を提供しました。
- WebJunction®プラットフォームを通じて無料のスキルアップ講座を提供し、図書館スタッフたちの受講時間は何千時間にも達しました。
図書館界の影響力を高める
- 図書館、OCLC、およびその他ステークホルダーがリンクトデータを共同で編集できるようにするインフラの構築において大きな進歩を成し遂げました。これは、(一般)ユーザーのWeb上での図書館資料検索の改善に大きな意味を持ちます。
- リソースシェアリングサービスにスマートフルフィルメント機能を構築し、図書館がILLプロセスを効率化し、資料をより迅速に提供できるようにしました。これには、デジタル形式の資料が平均10時間以内に到着する新たな「Express digital delivery program」が含まれます。
- 新たなCapira℠ソフトウェアとモバイルアプリは、利用者がスマートフォンから図書館資料へアクセスし、車に乗ったままでの資料の受け取りを予約するのに役立ちました。
- クラウドベースの図書館サービスプラットフォームであるWorldShare®ManagementServicesに新機能を追加し、図書館スタッフが世界中の図書館が協力して作成した書誌データ等をより効率的に利用できるようにしました。
- 図書館とコミュニティとの連携活性化システムWise®の採用数が、アメリカとベネルクス三国で増加しました。
- 新しいAPIを開発し、図書館データの共有や、図書館システムを他の機関システムやコミュニティシステムと簡単に連携させられるようにしました。
図書館界が直面した困難を克服する
- 図書館リーダーへのインタビューに基づくリサーチプロジェクト「The New Model Library」は、パンデミック後の世界でも優れた図書館サービスを提供するのに役立ちます。
- いくつかのグループと協力して、学生や研究者が貴重な歴史資料を発見するのに必要な、アーカイブの国家的ディスカバリシステムのビジョンを策定しています。
- ワシントン州立大学のデジタル奨学金及びキュレーションセンターと協力して、先住民族の資料を扱う公文書館、図書館、美術館、及び小規模の公共図書館のスタッフ向けに、デジタル奨学金とコミュニティの為の文化的コレクションのキュレーションに関する無料のオンラインコースを作成しています。
他のどの組織にもできない貢献
これらは、私たちが達成した多くのことのほんの一部です。この他にも、以下のレポートでより詳しくご覧頂けます。しかし、ご覧頂ける通り、新型コロナ感染拡大の影響を受けた最も困難な状況にあったにも関わらず、私たちは図書館界の為にこれほど多くのことを成し遂げたことはありませんでした。 そして、将来に向けて図書館と提携するために、研究、プログラム、およびサービスにおいてこれほど多くのプロジェクトを創始したことはありませんでした。
図書館界の声をテクノロジーと情報の世界にもたらすコミュニティに参加し続けていただき、ありがとうございます。 皆様に奉仕し、この重要な組織の成功を共有できることを光栄に思います。 私たちの共同作業はかつてないほど重要になっています。
Skip Prichard
OCLC President and Chief Executive Officer |
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追悼 Dr. K. Wayne Smith
去る2020年10月13日、OCLCの第三代CEO、K.ウェインスミス博士が82歳で亡くなりました。ウェイン博士は1989年から1998年までCEOを務め、OCLCが驚異的な成長を果たした時期にOCLCを率いました。博士は、政治、教育、およびビジネスの分野で卓越したキャリアを積んだ後、OCLCに加わりました。
ウェインスミス博士は高等教育機関の教師を務め、米国連邦政府で国家安全保障に従事し、ビジネス界で成功を収めました。またOCLCに加わる前に、「ワールドブック百科事典」のWorld Book社でCEOを務めていました。
ウェインスミス博士のリーダーシップの下で、OCLCは図書館とそのユーザーに革新的な情報サービスを提供する能力を高めました。また博士は、電子レファレンス、電子出版、リソースシェアリング、およびトレーニングにおける新しいサービスの創造を主導しました。博士は、最初のオンラインエンドユーザー情報検索サービスとしてのFirstSearchの導入を監督し、インターネット上でOCLCサービスを利用できるようにし始めました。博士は図書館学と情報科学の可能性を拡大するための研究を支援する熱心な支持者でした。
ウェインスミス博士は、ウェイクフォレスト大学で政治学の学士号を取得し首席で卒業し、またそこではHankins奨学金を獲得し、米国の成績優秀な学生・卒業生からなるファイベータカッパクラブの会員となりました。その後博士はプリンストン大学で経済学と政治学の修士号と博士号を取得し、そこではDanforth奨学金とWoodrow Wilson奨学金を獲得しました。また博士は南カリフォルニア大学で経済学の研究に従事しました。
ウェインスミス博士はOCLCをインターネット時代に導きました。また博士は、OCLCの歴史の重要な時期において、OCLCの確固たる財務基盤を築いたことに対して多大な功績を認めるに値します。博士の貢献は、OCLCのたどる道すじと世界中の図書館に大きな影響を与えました。 |
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2021年度を振り返って
パンデミックが世界の多くの地域で日常生活に影響を及ぼし続けたため、21年度は、図書館コミュニティとともに、パンデミックによる障壁や課題を乗り越えて、新しい方法で新たな目的意識を持ってコミュニティに奉仕した年でした。
科学的根拠に基づいた情報で図書館の再開を支援することで図書館員としての業務を推進し続けること、また研究と学習に基づいて図書館業務の変革に取り組むことに貢献しました。
コレクティブコレクションへよりアクセスしやすくし、図書館が利用者とスマートフルフィルメントを通してオンデマンドでつながる為に、私たちのネットワークを結集することで、より多くの人々を図書館と繋げ、またより多くの図書館同士を繋げました。
今日と将来の図書館のニーズを満たすソリューションを作成し、より深いコミュニティエンゲージメント、より柔軟なワークフロー、およびより良いユーザーエクスペリエンスを実現するために重要な新しい機能を追加しました。 また、将来の必要に備えるためのツールやサービスも開発しました。
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図書館界とライブラリアンシップの進歩に貢献する
OCLCは、学習、イノベーション、コラボレーションを加速および拡大して、図書館とライブラリアンシップを進歩させます。 調査、パイロットテスト、研究プロジェクト、その他の活動を通じてOCLCメンバーと携わることで、図書館が活動する環境に影響を与える変化のトレンドとパターン、またそれらのトレンドがどのように図書館のミッションと図書館サービスの変革に影響を与えるかを特定し調査することで、図書館と密接に関わり続けます。また図書館コミュニティとWorldCatを拡大させることで、学術レコードを進歩させます。
図書館、アーカイブ、博物館の再開を支援する
新型コロナウィルスによるパンデミックのために図書館は閉館を余儀なくされたので、再開するには科学的根拠に基づいた情報が必要であることがわかりました。博物館・図書館サービス機構(IMLS)およびバテル記念研究所と行ったREALMプロジェクトでは、資料を安全に取り扱い、再び貸出に戻す方法に関する研究成果を生み出しました。
REALMは、
- 図書館、アーカイブ、博物館で普及している資料でウイルスの生存期間を調査する8つのテストを完了しました。
- 日々新たに発表されている研究成果を統合しました。
- 地域の意思決定に情報を提供するためのツールキットを作成しました。
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49号 REALMプロジェクト7-8回目の実験結果公開
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研究を通してライブラリアンシップの新たな領域を開拓する
図書館の運営と適応の方法についてレポート化するOCLCの活動の一環として、OCLC Researchチームは、世界の図書館リーダーと会い、新しい図書館モデルと新しく進化する図書館業務とポリシーについて話し合い、取り組みます。 21年度に発行された5つのレポートは、スチュワードシップコスト、メタデータとリンクトデータの将来、および研究サポートサービスを提供する際の課題を取り扱っています。
スチュワードシップの総コスト:アーカイブと特殊コレクションの責任あるコレクション構築
OCLC Research LibraryPartnershipのCollectionBuilding and Operational Impacts Working Groupによって開発された、「Total Cost of Stewardship: Responsible Collection Building in Archives and Special Collections」(スチュワードシップの総コスト:アーカイブと特殊コレクションの責任あるコレクション構築)は、アーカイブと特殊コレクションを責任を持って購入して管理するために必要なリソースを理解するための包括的なアプローチのフレームワークを提案します。このフレームワークは、コレクション構築の決定をスチュワードシップの責任に結び付けることにより、アーカイブおよび特殊コレクションの記述的なバックログ(descriptive backlogs)の継続的な課題に対応します。
次世代メタデータへの移行
「Transitioning to the Next Generation of Metadata(次世代メタデータへの移行)」は、OCLCリサーチ・ライブラリー・パートナーシップでのメタデータマネージャーのフォーカスグループによる6年間の議論を統合し、メタデータが変更される理由とどのように変化するか、メタデータ作成プロセスがどのように変更されるか、これらの変更が将来の図書館職員の要件ににどのような影響を与えるか、また図書館がどのように準備できるかを検討します。
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45号 ―OCLC ResearchのブログHanging Togetherより―メタデータは次世代へ移行する
デジタルコレクションの発見性を高めるためのメタデータからリンクトデータへの転換: CONTENTdmパイロットプロジェクト
「Transforming Metadata into Linked Data to Improve Digital Collection Discoverability: A CONTENTdm Pilot Project」(デジタルコレクションの発見性を高めるためのメタデータからリンクトデータへの転換: CONTENTdmパイロットプロジェクト)は、CONTENTdm®リンクトデータパイロットプロジェクトの調査結果を扱います。OCLCと5つのパートナー機関は、メタデータをリンクトデータに変換して発見可能性とデジタル化された文化資料の管理を改善させる方法とその実現可能性を調査しました。
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50号 「―OCLC ResearchのブログHanging Togetherより―次世代メタデータに関する初の英語円卓会議: 相互運用可能な図書館データのクリティカル・マス*を目指して」
アーカイブ資料と特殊資料コレクションのリンクトデータ
「Archives and Special Collections Linked Data: Navigating between Notes and Nodes」(アーカイブ資料と特殊資料コレクションのリンクトデータ)は、アーカイブ資料と特殊資料コレクションのリンクトデータ評価グループの調査結果を扱います。リンクトデータを用いてアーカイブ資料と特殊資料コレクションを表現する上での問題点と未来への可能性について説明しています。
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43号 「―OCLC ResearchのブログHanging Togetherより―リンクトデータはアーカイブ資料と特殊資料コレクションで進化する:OCLC RLPから新しい出版物「アーカイブ資料と特殊資料コレクションのリンクトデータ」
研究支援における社会的相互運用性:キャンパス間パートナーシップと、大学研究事業
「Social Interoperability in Research Support: Cross-Campus Partnerships and the University Research Enterprise」(研究支援における社会的相互運用性:キャンパス間パートナーシップと、大学研究事業)は、米国の17の研究集約型大学からの22人の個人へのインタビューに基づいており、研究サポートサービスを提供する上で、キャンパス間、専門領域間の組織的協力の必要性が高まっていることを検証しています。その中では優先順位と貢献についても触れつつ、キャンパス研究支援のステークホルダーのための概念モデルを提供します。また、研究支援における社会的相互運用性を最適化する方法に関する参加者からの教訓とベストプラクティスをまとめています。
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助成金を受けたプロジェクトによるイノベーションの推進
私たちは、リーダーまたはパートナーとして、図書館、美術館、アーカイブをサポートし、革新的な研究を推進する6つの新しい助成金による研究プロジェクトの立ち上げもしくは補完を行いました。
Reimagine Descriptive Workflows(記述的ワークフローの再考)
アンドリュー・W・メロン財団から、米国の非営利グループShift Collectiveと協力したプロジェクト「Reimagine Descriptive Workflows」(記述的ワークフローの再考)への助成金が授与されました。 このイニシアチブは、専門家、実務家、コミュニティメンバーからなる多様なグループを招集し、記述的実践、ツール、インフラ、およびワークフローを改善することにより、メタデータ記述に包括語(差別のない表現)を導入するのを支援しました。
Building a National Finding Aid Network (NAFAN)(全国的アーカイブ資料の検索支援ネットワーク基盤構築に向けた研究・実証)
IMLS(博物館・図書館サービス機構)からの資金提供を受けて、バージニア大学およびプロジェクトリーダーのカリフォルニア電子図書館(California Digital Library)と協力し、米国を拠点とする図書館等のネットワーク・LYRASISおよびローカルなアグリゲーターと緊密に連携して、2年間の調査および実証プロジェクトを実施し、「Building a National Finding Aid Network (NAFAN)=全国的アーカイブ資料の検索支援ネットワーク基盤構築に向けた研究・実証」を行っています。OCLCは、このイニシアチブの定性的・定量的研究を主導しています。
Digital Stewardship Training Courses for Tribal Archives, Libraries, Museums, and Small Public Libraries(先住民族の資料を扱うアーカイブ、図書館、美術館、小規模な公共図書館向けのデジタルスチュワードシップ)
先住民族の資料を扱うアーカイブ、図書館、美術館(TALMs)、小規模な公共図書館向けのデジタルスチュワードシップライフサイクルに関する一連の無料のオンデマンドコースを作成するために、IMLSの「Laura Bush 21st Century Librarian Program」(ローラ・ブッシュ21世紀図書館員プログラム)の助成金を授与されました。 WebJunctionチームはワシントン州立大学のCenter for Digital Scholarship and Curation(デジタル奨学金およびキュレーションセンター)の専門知識を活用しつつこのプロジェクトを主導しています。
キャリア初期の専門家と図書館情報学博士課程の学生の為のネットワーク構築支援
私たちは、ドレクセル大学のメタデータ研究センターが管理するIMLSの助成金を受けた「The LIS Education and Data Science Integrated Network Group (LEADING)」に参加して、キャリアの初期段階にある専門家と図書館情報学博士課程の学生が全国的なデジタルプラットフォームの能力を共同で向上させるための全国的なネットワークを構築しています。
Transforming School Library Practiceプログラム支援
IMLSは、私たちとの協力協定を拡大し、「Transforming School LibraryPractice」プログラムの助成対象者の第二群のメンター組織になりました。 OCLCは、上記プロジェクトを行う合計15の米国の学校図書館を2年間指導しています。
Operationalizing the Art Research Collective Collection(アートリサーチコレクティブコレクションの運用化)
サミュエル・H・クレス財団からの資金援助を受けて、「Operationalizing the Art Research Collective Collection」(アートリサーチコレクティブコレクションの運用化)プロジェクトを開始しました。 このイニシアチブは、芸術、学術、および独立した研究図書館間の新しいコラボレーションおよびパートナーシップモデルを開拓し、これらの機関がコレクションを共同管理するのをサポートします。
関連したOCLC News
55号 「-OCLC ResearchのブログHanging Togetherより–アーカイブアグリゲーションサイトの利用者を知るために」
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何千もの図書館スタッフに教育とトレーニングを提供
OCLCのWebJunctionプログラムは、図書館スタッフが専門的なスキルを磨き、お互いから学ぶための専門的なソーシャルネットワークを提供します。 WebJunctionは、コラボレーションツール、応用研究、学習ネットワークを使用したオンライントレーニングプログラム、自主学習、およびピアツーピアサポートを介して図書館員の学びをデザインおよび提供し、新しいアイデアやイノベーションをより多くの図書館にもたらします。 このアプローチにより、規模、タイプ、地理的な場所に関係なく、すべての図書館が共通の目標に向けてリソースを効果的に使用および共有できるようになります。
21年度も、WebJunctionのコースカタログへの登録は引き続き好調でした。 図書館スタッフが専門能力開発に積極的に取り組んだため、登録数はパンデミック前の数を上回り続けました。 昨年は30,652人の学習者がWebJunctionのコースに参加し、19年度から40%増加しました。 コースカタログには、図書館のトピックに関する50以上の自習型コースと360のウェビナーレコーディングが含まれています。
欧州研究図書館協会(LIBER)とのディスカッションシリーズ、バーチャルワークショップシリーズ
OCLCリサーチ・ライブラリー・パートナーシップ(RLP)は、ヨーロッパとオーストラリアでOCLCのソート・リーダーシップの認知度を高めるために、関連組織との新しいパートナーシップを結びました。
欧州研究図書館協会(LIBER)とは、ウェビナーやディスカッショングループを通じてオープンサイエンスに関するディスカッションシリーズを開催しました。 このシリーズは、LIBERのオープンサイエンスロードマップに基づいており、研究図書館がオープンサイエンス(OS)のサポートインフラと、地域、国、およびグローバルレベルでのそれらの役割の構想を描くのに役立ちます。
また、LIBERと提携して、「公開奨学金を推進するための戦略的関係の構築」に向けて図書館スタッフがどのように取り組むことができるかに焦点を当てたバーチャルワークショップシリーズを主催しました。
ヨーロッパの図書館向けディスカッションシリーズ
OCLC Researchは、「次世代のメタデータ」に関するヨーロッパの図書館向けのディスカッションシリーズを実施しました。これは、メタデータとリンクトデータに関するOCLCResearchからの最新の公開レポートに焦点を当てたものです。
リサーチ・ライブラリー・パートナーシップのオーストラリ・ニュージーランドの図書館向けウェビナー
リサーチ・ライブラリー・パートナーシップ(RLP)は、the National and State Libraries Australia(NSLA)(オーストラリア及びニュージーランドの国立・州立図書館等の連合)と協力して、「Operationalising the CARE Principles for Indigenous Data Governance」(先住民データガバナンスにおけるCARE原則の運用)と「Total Cost of Stewardship」(スチュワードシップの総コスト)という2つの進行中のウェビナーを作成しました。
関連したOCLC News
40号「―OCLCのリーダーたちが知見や経験を共有するブログ Nextより―
新型コロナウィルスによる図書館閉鎖中に WebJunctionで学ぶスタッフが急増」
51号 「―OCLC ResearchのブログHanging Togetherより―次世代メタデータに関するオランダ語円卓会議: NACOやWorldCatを超える発想を」
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世界の知識の集合体を構築・整理する
OCLCのスタッフと数千のメンバー図書館が協力して、図書館コレクションに関するデータの最も総合的なグローバルネットワークであるWorldCatを構築および保守しています。 WorldCatは唯一無二の規模と比類なきデータ品質を誇り、世界中の図書館コレクションを発見し、アクセスできるようにします。 また、図書館が高品質のメタデータと書誌レコードを相互に共有できるようし、コレクション開発と目録作成のタスクに費やされる時間を大幅に削減します。 これは、OCLCと数千の図書館スタッフの創造性と革新性の表れであり、図書館員の力の証です。
21年度には、WorldCatに登録されているレコード件数は5億件を、また所蔵数は30億件を超え、20年度と比較して書誌レコードは6.74%増加し、所蔵数は4.35%増加しました。 これらのレコードと所蔵情報は、図書館が世界中でリソースを共有できるようにし、図書館のユーザーがどれだけ近くまたは遠くにいても情報を見つけてアクセスできるようにします。
シェアードプリント(冊子体資料の共同管理、コレクティブコレクション)のコミュニティと協力して、私たちは、次世代の為に学術的および文化的記録を確保し、アクセスを提供するという共通の目標に向けて大きな進歩を遂げています。 WorldCatに登録されているシェアードプリントのコミットメントの数は、21年度に2500万を超えました。 その数字は急速に成長し続けているので、私たちはシェアードプリントのイニシアチブを大規模にサポートすることに引き続き取り組んでいます。
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より多くの人々を図書館へ、より多くの図書館を互いに繋げる
新しいOCLCサービスは、ユーザーエクスペリエンスの向上と重要なバックオフィス業務の合理化に重点を置いて、図書館コレクションへのアクセスを拡大し続けるのに役立ちました。 そして、私たちはヴァーチャルイベントを通じて図書館を繋ぎ続けました。
図書館ネットワークの活用
図書館の効果的なコミュニティエンゲージメントには直感的で強力かつ柔軟なモバイルアプリが必要であることを認識していた為、私たちは2020年にCapira Technologiesを買収しました。Capiraはカスタマイズされたモバイルアプリを作り、電子図書カードや自動貸出などの最適なユーザーエクスペリエンスを提供します。 CapiraMobile℠は、市場で最も急速に成長している公共図書館向けモバイルアプリです。 CapiraCurbside℠は、図書館のスタッフと利用者に非接触かつ簡単な路上ピックアップを可能にします。これは、多くの図書館がコロナ禍においてサービスを継続するための重要なサービスです。
※2021年11月現在、Capira関連のサービスは日本では未提供です。
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革新的なリソースシェアリングサービスで利用者の期待を超える
私たちは、すべてのOCLCリソースシェアリングサービスに渡って新しいスマートフルフィルメント機能を進化させ続けました。 新しいスマートフルフィルメント機能は、各図書館のポリシー、資料の利用可否、図書館ネットワークの関係性、およびユーザーのニーズに基づいて、高速でリアルタイム、かつデータ駆動型のILLサポートを行います。 WorldShare ILL®のご契約に含まれ、ILLiadおよびTipasa®からも利用できるこれらの機能は、ユーザーが望む資料の入手体験を驚くべき速度で提供し、スタッフによる手動による作業を最小限に抑えて、図書館の時間とお金を節約します。
OCLCリソースシェアリングサービスのスマートフルフィルメントに関する機能強化を使用して、非常に高速なターンアラウンドタイムを促進するために、新しいExpress digital delivery programを開始しました。 現在、1,000を超える図書館がこの新しいプログラムに参加しています。このプログラムは、WorldShare ILL、Tipasa、またはILLiadをご契約の図書館が追加料金なしで利用できます。 最初の5か月の間に、参加館の間で平均10.4時間に160,000を超えるコピーリクエストが処理されました。
OCLC OCLC Interlibrary Loan Cost Calculatorを導入しました。これは、仮想リアルタイムILLコスト調査として機能する可能性のある無料のオンラインツールです。 リソースシェアリングの専門家と共同で設計され、OCLC Researchのスタッフによって構築されたこの計算ツールは、2021年2月にすべてのユーザーに公開され、すでに60以上の学術図書館と公共図書館が登録され、12以上のデータセットがアップロードされています。 録画されたウェビナーでは、ツールの機能と、個々の機関や図書館コミュニティがどのように活用することができるかについての解説をご覧頂けます。
※2021年11月現在、Tipasa及びILLiadは日本では未提供のサービスです。
関連したOCLC News
48号 「コロナ禍における取り置き資料受け取りを助ける新アプリ:CapiraCurbside」
50号 「OCLC Interlibrary Loan Cost CalculatorでILL料金を算出」
51号 「ILLの納期を大幅に短縮するExpress programとその技術」
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メンバ―中心のエンゲージメントを変革する
OCLCグローバル評議会は21年度はオンラインで会合を開き、各国の意見を代表し、今日の図書館が直面している問題に関する各地域の意見を反映するメンバーの能力を強化するために自らを変革し続けました。
重点分野
グローバル評議会は、これらのグローバルな目標を達成するための図書館の貢献と機会を探求するために、2020年から2021年の重点分野として国連(UN)の持続可能な開発目標(SDGs)を選択しました。 含まれる活動には、以下があります。
全世界の図書館を対象とした調査
評議会はOCLCResearchと提携して、世界中の図書館を調査し、 99か国を代表する1,724件の調査が完了しました。 収集されたデータは、図書館とSDGsに関するより包括的なグローバルな洞察を提供し、OCLCが2021年9月の最終報告書で発表した元の調査の重要な部分です。
SDG ウェビナーシリーズ
評議会はまた、SDGsに関する世界中の図書館リーダー間の気づきと対話を生み出すために一連の5つのウェビナーを主催しました。 約3,300人がウェビナーに登録し、1,500人以上がライブセッションに参加しました。 国際図書館連盟(IFLA)の会長兼OCLC理事会の評議員であるBarbara Lison(バーバラ・リゾン)は、2020年11月にこのシリーズのキックオフを支援しました。 またグローバル評議会議員でありEl Paso Community Collegeの図書館員長および助教授であるロアリー・アンブリズ(Lorely Ambriz)は、ブログNextにSDGsに関して「Stronger together: Libraries focus on the UN’s Sustainable Development Goals」(一緒ならもっと強くなれる:図書館と「持続可能な開発目標(SDGs)」)を投稿しました。。
関連したOCLC News
48号 「―OCLCのリーダーたちが知見や経験を共有するブログ Nextより―一緒ならもっと強くなれる:図書館と「持続可能な開発目標(SDGs)」」
54号 「―OCLCのリーダーたちが知見や経験を共有するブログ Nextより―図書館の活動を地球規模の課題へつなげる: どう始めるの?」
選挙
グローバル評議会の選挙を通じて、有権者はOCLCグローバル評議会および地域評議会細則とOCLCメンバーシッププロトコルの変更を承認しました。 Pilar MartinezとEarl Givens, Jr.がグローバル評議会議長と副議長に選出されました。 今年のグローバル評議会執行委員は次のとおりです。
- Pilar Martinez, Chair of the Americas Regional Council
- Jan Simane, Chair of the Europe, Middle East, and Africa Regional Council
- Constance Wiebrands, Chair of the Asia Pacific Regional Council
- Earl Givens, Jr., Vice Chair/Chair-Elect of Americas Regional Council
- Sarah Hurter-Savie, Vice Chair/Chair-Elect of the Chair of Europe, Middle East, and Africa Regional Council
- Kuang-hua Chen, Vice Chair of the Asia Pacific Regional Council
年次会議
新型コロナウィルス流行のために2021年3月にオンラインにて開催された年次総会で、グローバル評議会はカナダのバンクーバーにあるランガラ大学の図書館サービスおよびラーニング・コモンズのディレクターであるDebbie SchachterをOCLC理事会に選出しました。(2021年11月就任予定)
オランダのユトレヒト大学の大学司書であるAnjaSmitと、香港理工大学の大学司書であるShirley Chiu-wing Wongは、理事会の定例会議でOCLC理事会の議席を獲得しました。 評議会は2020年3月にAnja SmitとShirley Chiu-wing Wongを理事会に選出していました。
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OCLC理事会長 John Szaboからのメッセージ
OCLC理事会長、Los Angeles Public Library図書館長 John Szabo
2017年から理事会長を務めることができて光栄です。また、昨年よりもOCLCを代表することを誇りに思ったことはありません。 OCLCが、非常に多くの困難な分野で図書館ユーザーにサービスを提供できるように努めた姿は、本当に印象的でした。 私たちは資金提供機関や科学コミュニティと提携して、図書館再開について十分な情報に基づいた意思決定を行うための適切なデータを提供しました。 私たちは図書館と協力して、パンデミックの混乱の中で変化するニーズに対応するために製品への投資に優先順位を付けました。 そして、人種間の平等を推進するという課題に立ち向かうための行動計画を強化しました。 OCLCのスタッフは、これまで以上に多くの図書館員にバーチャルイベントを提供し、驚異的な数のサービスの機能強化と新しいインフラプロジェクトを完了しました。 それは成長、学習、そしてアドボカシーの歴史的な年でした。 |
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2020–2021 OCLC 理事会員紹介
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OCLCイベントを通じて繋がりを深める
OCLCのイベントチームは、バーチャル環境に適応するようにイベント戦略を再設計しました。会議や会議への参加には、インタラクティブなライブプレゼンテーションと事前に録音されたコンテンツが含まれていました。南北アメリカで170以上のバーチャルイベントに参加し、17,000以上の参加者との交流を達成しました。 EMEAチームは、年間で170のバーチャルイベントと会議を開催し、9,347の登録と5,795の参加者がありました。
ACRL 2021会議、ALA冬季および年次会議
米国の大学・研究図書館協会(ACRL)のACRL 2021会議、米国図書館協会(ALA)のALA冬季および年次バーチャル会議で、オンデマンドビデオ、ライブストリーミングイベント、オンラインブースを紹介しました。
Bibliotheksleitertag
ドイツでOCLCが主催する毎年恒例のBibliotheksleitertag(”Library Leaders Day”)の最初のオンラインバージョンでは、通常のリアルでのイベントにおける参加者数200〜300人をはるかに超える参加数を達成しました。 1,200人以上の参加者が登録し、合計でのセッション登録数は4,000人を超えました。
OCLCContactdag
オランダの営業およびマーケティングスタッフが主催する最大の顧客向けイベントであるOCLCContactdagのオンライン版を行いました。 5日間にわたってオンラインで開催されたこのイベントには、370人近くの登録者が参加しました。全員参加セッションと26人のスピーカーが率いる8つの分科会が含まれていました。
OCLC Community Engagement Award
フロリダ州のOrange County Library System (OCLS)、ミシガン州のJackson District Library (JDL)、カナダのアルバータ州のEdmonton Public Library (EPL)に、サービスを提供するコミュニティの生活を一変させた優れたプログラムに対して、OCLC Community Engagement Awardsを授与しました。 また、コミュニティエンゲージメントのストーリー、ツール、成功、つながりのハブになるという目標をサポートするために、新しい専用のWebページを作成しました。 同時に、図書館員を招待してコミュニティエンゲージメントの成功のストーリーを共有する新しいソーシャルメディアキャンペーン、#EngagedLibrariesを開始しました。
OCLC Community Center
図書館スタッフが仲間とつながり、ワークフローやベストプラクティスについて質問し、OCLCサービスを改善するためのアイデアを提供するためのオンラインフォーラムであるOCLC Community Centerは、5周年を迎えました。 21年度には、Community Centerは8,500を超える機関から35,000を超える会員を擁するまでに成長し、20年度に比べて53%増加しました。 Community Centerでは、月平均321件の新規投稿が行われ、コミュニティおよびOCLC主導のオンラインセッションを年間を通じてホストし、幅広いOCLCサービスをカバーしました。
OCLC Resource Sharing Conference
2021年も、22人のコミュニティスピーカーが登壇した6回からなる無料のバーチャル会議のシリーズ、OCLC Resource Sharing Conferenceを開催し、930以上の機関と21カ国を代表する3,000人以上が参加しました。 このイベントには、資料の複写提供に役立つモバイルスキャンステーション、電子的文書デリバリー、図書館が蔵書をデジタル化し蔵書1部に対して1ユーザーのみに決まった期間だけ貸し出す“Controlled Digital Lending”(CDL)、およびこの困難な時期にリソースシェアリングを前進させる活動についてのセッションが含まれていました。
関連したOCLC News
43号 「3つの公立図書館がOCLC Community Engagement Awardsを受賞」
52号 「ページを見つけて、スキャンして、戻すだけ:電子的資料提供の為のモバイルスキャニングステーション」
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今日と明日のニーズに応えるソリューションを創る
私たちは、システムを改善し、OCLCメンバーにより良いサービスを提供するために、図書館との協力を続けました。 これらの取り組みは、公共図書館がユーザーやコミュニティとの関係を構築する方法を再発明するのに役立ちました。 図書館の成功に不可欠なサービスをアップグレードするために、何百もの新機能を追加しました。 私たちは多様なAPIのセットを拡大し続けました。その多くは、図書館、図書館サービスプロバイダー、および知識へのアクセスを増やすというコミットメントを共有する他のパートナーと協力して開発しています。 図書館が電子リソースを簡単かつ安全に配信できるようにする認証ソフトウェアを強化しました。 また、リンクトデータの面で大きな進歩を遂げ、図書館やその他のステークホルダーがリンクトデータを共同でキュレートできるようにする共有実体管理インフラストラクチャ(Shared entity management infrastructure)プロジェクトを構築しました。
関連したOCLC News
45号 「―OCLC ResearchのブログHanging Togetherより―メタデータは次世代へ移行する」
50号 「―OCLC ResearchのブログHanging Togetherより―次世代メタデータに関する初の英語円卓会議: 相互運用可能な図書館データのクリティカル・マス*を目指して」
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世界初のクラウドベースのライブラリプラットフォームの10周年を記念して
成長を続けるWorldShare® Management Services(WMS)コミュニティが10周年を迎えるこの年も、世界中の図書館がこの完全に統合された図書館プラットフォームを引き続き支持しました。 23か国の700近くの図書館がWMSを選択しています。 新規加入者は次のとおりです。
※2021年11月現在、WorldShare Management Servicesは日本では未提供のサービスです。
北米
- Canadian Centre for Architecture, Montréal
- Ingalls Library and Museum Archives (part of the Cleveland Museum of Art), Ohio
- Space Telescope Science Institute Library, Maryland
- Texas Southern University and the Marshall School of Law, Texas Southern University, Texas
- Brookhaven National Laboratory, New York
- Albertus Magnus College, Connecticut
- American Museum of Natural History Library, New York
- Hofstra University and Hofstra University Law School, New York
ヨーロッパ
- National College of Art and Design, Dublin, Ireland
- Franklin University, Switzerland
- Police University of Brandenburg, Germany
- Kühne Logistics University, Germany
- Helmholtz Centre for Environmental Research, Germany
- ISDI Digital Business School, Spain
- University of Milano-Bicocca, Italy
WMSの機能強化
購入ワークフローの効率化、Digbyモバイルアプリへの新しいスタッフ機能の追加、および利用者が資料にアクセスしやすくする機能の強化に伴い、21年度にWMSに200を超える新しい機能強化を行いました。その70%以上はコミュニティからの声に基づいています。
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28号 「OCLCのアプリ”Digby”で蔵書点検」
FedRAMP認証取得
WMSは、クラウドサービスに対する米政府の厳格なセキュリティ基準を満たしたクラウドサービスだけが受けることのできる認証、Federal Risk and Authorization Management Program(FedRAMP)を取得しました。 この際、アメリカ国勢調査局図書館がFedRAMPのOCLCのスポンサーを務めました。
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54号 「WorldShare Management ServicesがFedRAMP認証を獲得」
APUC最高位サプライヤー
WMSは、図書館マネジメントシステムに関するAPUC (Advanced Procurement for Universities and Colleges) Framework Agreementで最高位のサプライヤーとしてランクインしました。 スコットランドの大学の為の公共調達センターであるAPUCは、APUCメンバーが入札プロセスを経る必要がないように、開発、導入、サポート、およびシステムの機能を綿密に検討しています。
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42号 「OCLC WorldShare Management Services が図書館システムに関するAPUC Framework Agreement で最高位を獲得」
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より良いコミュニティエンゲージメントを助ける
私たちは、公共図書館が利用者との関係を強化し、より広いコミュニティとの新しく繋がり、変化するコミュニティのニーズによりよく対応できるようにする革新的なコミュニティエンゲージメントシステムであるOCLC Wiseのユーザーを引き続き拡大させました。
※2021年11月現在、Wiseは日本では未提供のサービスです。
US Wiseチームは、21年度も製品開発のために初期にWiseを導入した館と緊密に連携し続けたことに加えて、初めて全てリモートでのWise導入に成功しました。
これは、以下が全てリモートで行われたという事です。
- 各初期インスタンスを構成するための運用ワークフロー、ポリシー、プラクティス、およびデータの詳細な調査と分析。
- 図書館の各データ移行に伴うテストと再設定。
- 図書館スタッフのスキルトレーニング。
この期間中に、以下4つの図書館のWiseが本格稼働開始しました。
現在、6つの米国の図書館のWiseが稼働しています。
また、ヨーロッパでもWiseを拡大させ、ベルギーのオランダ語圏であるフランダースのCultuurconnectから95の図書館が加わりました。 現在までに、Cultuurconnectと提携している210の図書館がWiseを使用しています。 このプロジェクトには、フランダースにある315の公共図書館すべてが含まれ、図書館は2021年まで段階的にシステムを導入しています。
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50号 「フェイエットビル公共図書館(FPL)がOCLC Wiseを導入」
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図書館のセキュリティを向上させる強力な新機能を導入
電子リソースアクセスおよび認証ソリューションであるEZproxy®を、図書館の運用を混乱させるデータ侵害を軽減するのに役立つセキュリティ機能を追加してアップデートしました。EZproxy利用機関は、侵害されたシングルサインオン認証をリアルタイムで自動的に識別して無効にするカスタマイズ可能な一連のルールと、コンテンツプロバイダーとのフィードバックループを合理化および保護するオプションの仮名ユーザー識別子の恩恵を受けられるようになりました。
COVID-19は、学習と研究のワークフロー、および図書館のリソースへのアクセスに対するユーザーの期待を劇的に変えました。 これらの期待に応え、可能な限り最も信頼性が高く安全なアクセスを提供するために、より多くの図書館がhosted版EZproxyを選択しました。EZproxy hosted版の顧客基盤は約15%増加しました。 EMEAおよびアジア太平洋地域だけでも、100を超える図書館が、EZproxy hosted版に移行または契約しました。
世界で56の図書館がEZproxyAnalyticsを契約して、誰がどのように電子リソースを使用しているかについて、最新かつ実用的な洞察を得ています。これらの顧客は、EZproxy Analyticsを使用して、リソースの使用状況をより深く理解し、電子リソースが活用されていることを証明し、また電子リソースを更新、キャンセル、および購入する意思決定に役立つ情報を提供します。
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44号 「EZproxy hosted版導入校が増えています。」
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ディスカバリーサービスにおいて独自のユーザーエクスペリエンスを提供する
WorldCatDiscoveryインターフェースを再設計しました。 このアップデートされたインターフェイスは、ユーザーが図書館のコレクションからリソースをより直感的に見つけて取得するのに役立つスムーズなユーザーエクスペリエンスを提供します。 再設計されたWorldCatDiscoveryのランディング、検索結果、および検索結果詳細ページは、WCAG 2.1AAアクセシビリティガイドラインに準拠するようになりました。 OCLCメンバーは、年間を通じてWorldCat Discoveryチームと積極的に提携し、新しいインターフェイスの新機能と拡張機能を提案および改良しました。
新たなコンテンツプロバイダー
ユーザーを必要な情報に繋げるために、出版者と新しい契約を締結しました。WorldCatDiscoveryを通じてコンテンツを確実に検出できるように、23のコンテンツプロバイダー(うち11が新しいプロバイダー)からの58の新しいコレクションをWorldCatDiscoveryセントラルインデックスに追加しました。 21年度末時点で377の出版者およびプロバイダと、これらのグローバルな出版社からセントルインデックスに、3,111の紙媒体の書籍、電子書籍、ジャーナル、データベース、およびその他の資料のコレクションのメタデータを含める契約を締結しています。合計で、これらのコレクションは43億レコードに相当します。
OAコンテンツのデータベース
FirstSearch®においてオープンアクセス(OA)コンテンツの新しいデータベースを作成し、研究者が使い慣れたコンテンツプロバイダーからOAリソースを簡単に見つけられるようにしました。 FirstSearchユーザーからのリクエストに応えて開発されたOAコンテンツデータベースは、WorldCatおよびOCLCサービスで高品質のオープンコンテンツを表現するために世界をリードするコンテンツプロバイダーと提携してきた20年の歴史のうえに展開しています。このデータベースでの検索では、フルテキストにアクセスできるOAコンテンツのアイテムのみが取得されます。
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47号 「WorldCat Discoveryインターフェースが新しくなります。」
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コレクション管理のための革新的な意思決定支援ソリューションを提供する
GreenGlassにおける定期刊行物の共同管理機能をリリースしました。これにより、図書館は、責任ある定期刊行物の除籍をサポートすることで、紙媒体のコレクション管理に関する意思決定を自信を持って行うことができます。 GreenGlassにおける定期刊行物の共同管理機能は、WorldCat、JSTOR、およびその他の既知のジャーナルアーカイブのデータを活用および比較することにより、集合的なコンテキストで資料を保存し続けるか否かを決定し、学術記録を保護するために必要な知見を図書館に提供します。
※2021年11月現在、GreenGlassは日本では未提供のサービスです。
これらの知見により、図書館は以下の事が可能になります。
- ある定期刊行物がどれだけ広く所蔵されているか。また、その定期刊行物がよく知られたジャーナルアーカイブに含まれているか。
- 自館の定期刊行物の所蔵範囲をよく知られたジャーナルアーカイブと比較する。
- 古くなっているもしくは不完全なジャーナルがどれかを確認。
- コレクションを所蔵場所、件名、言語、出版状況でセグメント化。
- タイトル、ISSN、OCLC番号、OCLC作業IDで検索。
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54号 「―OCLCのリーダーたちが知見や経験を共有するブログ Nextより―吠えなかった猫」
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図書館テクノロジーを開発・改善する
データテクノロジーのリーダーであり、クラウドテクノロジーのイノベーターであるOCLCは、複雑なテクノロジー環境でメンバー館と協力するという独自の立場にあります。 API(アプリケーションプログラミングインターフェイス)によって、メンバー館は、モバイル端末、パーソナルアシスタント、およびその他のデバイス間で変化するユーザーの期待に応えるために、必要なカスタムワークフローを構築および共有できます。 21年度も、多様なAPIのセットを拡大し続けました。
新しいWorldCatDiscovery Premium APIパッケージは、よく使われているWorldCat Discoveryの機能を活用して、図書館スタッフがディスカバリサービスをカスタマイズ、強化、拡張するのに役立ちます。 これらには、次のAPIが含まれます。
WorldCatメタデータAPIを使用すると、ライブラリーはWorldCatレコードを簡単に検索、作成、および強化し、WorldCatで共有されている共同管理における保存情報を見つけることができます。
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45号 「―OCLCのリーダーたちが知見や経験を共有するブログ Nextより―図書館員の時間旅行、シェアード・プリント(紙媒体資料の共同管理)、図書館同士がよい存在であること」
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リンクトデータを研究から現実に移す
10年以上の研究、パイロットテスト、およびその他の探索的研究調査の後、図書館コミュニティ全体におけるリンクトデータイニシアチブをサポートする共有実体管理インフラストラクチャ(Shared entity management infrastructure)を完成させる予定です。 この新しいインフラには、図書館の資料と他の関連するコレクションとのリンクを強化するために使用できる、1億を超える簡単にアクセスできる作品や人物の実体(エンティティ、entity。個人名、著作、表現形)が含まれます。 付属のユーザーインターフェースとAPIにより、この実体エコシステムは、コレクションとマテリアルタイプを跨いだメタデータワークフローの効率を改善し、MARCレコードの品質と精度を改善し、最終的に図書館資料をよりリンクさせてWeb上で発見できるようにします。 アンドリュー・W・メロン財団の資金は、この重要な作業の総費用の約半分を占めており、OCLCは必要な投資の残りの半分を負担しています。
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45号 「―OCLC ResearchのブログHanging Togetherより―メタデータは次世代へ移行する」
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(紀伊國屋書店 OCLC事業部)
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